陽・丸・梶谷選手とFA野手で外野手を取り続けている巨人。しかし丸選手は打率.087、梶谷選手は打率.158,陽選手にいたっては3軍降格と目も当てられない状態。亀井選手は今年38歳と衰えを隠せなくなっており、中堅の立岡・石川・松原・重信選手何れも1.5軍状態。残念ながら外野手については絶望的ともいえる状況が続いています。
今回はそんな外野手事情を踏まえ、巨人が現状とれる手段と今後の解決方法について語っていきます。
【外野手問題の原因】
【大卒・社会人外野手指名の少なさ】
原因はひとつ。それは大卒・社会人外野手の指名が非常に少ないこと。
15年から20年のドラフト指名で外野手指名だったのは、15年2位の重信選手と17年7位の村上選手の2名のみ。今回は他球団と比較するために5年間としましたが、実は10年まで遡っても2人指名だけという恐ろしいまでの偏りがあります。
他球団の指名傾向と比較すると、以下のようになります。
阪神4(15年1位:高山 6位:板山 17年4位:島田 18年1位:近本)
広島2(18年6位:正随 19年2位:宇草)
ヤクルト5(15年5位:山崎 17年4位:塩見 18年2位:中山 20年5位:並木)
横浜3(17年2位:神里 8位:楠本 19年6位:蛭名)
中日2(18年6位:滝野 20年6位:三好)
【高卒外野手も少ない】
大卒・社会人外野手が少ないのなら、高卒外野手をそのぶん撮っているのではないかと思うかもしれませんが、残念ながら高卒外野手の指名も少ない。高卒であるため10年前まで指名をさかのぼりますが、支配下の中で外野手指名した選手は19年6位の伊藤選手のみ。
育成指名ではそれなりに外野手を指名していますが、育成外野手は高卒野手以上の出てくる可能性が低い数撃てば当たる戦法の指名が多いため、育成で足りないポジションを補強する編成はリスクが大きすぎる方法です。育成はあくまで底上げが目的であり、足りていないポジションを強化するなら支配下指名による戦力強化を図る必要があります。
【解決に向けて】
【①:今後の大卒・社会人外野手の市場】
21年の大卒外野手の目玉は粗さは目立つものの高い身体能力が魅力の神奈川大・梶原選手。1年生からレギュラーで右の長距離打者の慶応大・正木選手。高いミート力を誇る仙台大・川村選手。守備評価の高い明治大・丸山選手の4人。ただ梶原選手はとにかく目立つ三振数、正木選手は当初センター起用もされていたものの、現在はファーストに回されてしまっており、登録も一塁手に変更されています。国学院大の山本ダンテ武蔵選手がここ最近話題になっていますが、全試合DH起用のためセリーグでは獲得しにくい背景があります。
21年を問わず大卒外野手市場はここ数年不作が続いており、即クリーンナップクラスの目玉選手は出てきていません。正木選手はその候補の一人でしたが、もともと打撃以外の評価は高くなく、さらにレフトからも降格となれば指名順位はさらに落ち込みます。梶原選手もロマン型であるため、とにかく外野手の頭数が足らない巨人が獲るにはリスクが大きいタイプ。巨人の若手外野手はフリースインガーが多く、1番タイプでセンターを安定してこなせる選手が意外と少ないため、仙台大・川村選手が候補となってきます。
社会人外野手は1年目から4番で起用されるJR東日本・菅田 大介選手。故障に悩まされるも潜在能力が高いSUBARU・山田知輝選手。大会では本塁打も記録した左の大型野手であるNTT東日本・火ノ浦明正選手。チームでは9番起用だったが打率7割越えの強肩のNTT西日本・藤井健平選手が目立った選手となります。
しかし社会人外野手は求められる打撃のハードルが高く、独立リーグを除くすべての年齢・ポジション別で一番指名が少ないポジションです。指名0の年も珍しくなく、18年阪神1位・近本選手のような全国大会で4割越えの成績を残せるレベルでないと上位は厳しいポジションです。
裏を返せばある程度の選手を下位でも指名が可能であるため、頭数が足りない巨人にとっては無視できない指名方法です。
大卒外野手の上位候補が出てくるのは22年。1年からレギュラーの早稲田大・蛭間選手に1試合2HRを記録している中央大・森下翔太選手が上位候補となります。
22年でこの二人のどちらかを上位で獲得するためにも21年でそれ以外のポジションを出来るだけ揃え再来年のドラフトで余裕を持たせる必要があります。
また22年社会人でも1年目ですでに4番で打率も残しているJFE東日本・関 龍摩選手や左のスラッガー候補の大阪ガス・三井健右選手等長打面が期待できる外野手が揃います。
【②:若手外野手の台頭はあるか】
現在巨人のなかで支配下・育成含め25歳以下の若手外野手は支配下だと
25歳:八百板
23歳:加藤壮(育)・保科(育)
21歳:山下航(育)
20歳:伊藤海
17歳:ティマ(育) ※年齢は21年末での年齢
本職外野手だと今年話題となったドミニカの2選手の一人であるティマ選手を含めても6名のみ。内野から松井・平間・ウレーニャ選手などが外野でも起用されていますが、少なくとも25歳以下から1軍戦力がすぐに現れる可能性は低いと想定するべきです。支配下が2人しかいないのがこれまでの指名の偏りを表しています。このため現況戦力による早期の解決は見込めないため、新戦力による底上げが必要となります。
【⓷:FA市場について】
最終手段となるのがFAによる即戦力の獲得。ただ現在の巨人はFAによる積極的な獲得により、支配下選手を動かせなくなり30歳以上の年齢バランスに偏りが出ているのが今の外野手問題の一因でもあるため、FAによる解決はあまり推奨できません。
ちなみに21年のFA取得見込み選手は以下のようになっています。
2021年に国内FA権を取得する可能性のある主な選手は以下の通りとなっている。
・阪神
梅野隆太郎・中日
田島慎二、又吉克樹、岡田俊哉、祖父江大輔、松葉貴大、福田永将・ソフトバンク
嘉弥真新也・ロッテ
石川歩・西武
岡田雅利、木村文紀
このように今度のFAの目玉は投手が中心で外野手は近藤・太田選手・後藤選手がいますが目玉といえるほどではなく、FAも期待はできません。
【まとめ】
残念ながら若手戦力はまだまだ時間がかかりFAも投手中心。巨人外野手についてはまだ我慢の年が続きます。トレードができるほど現況戦力に余裕があるわけでもないため、ドラフトに期待するしかない未知数の状態です。
一方で若林選手の外野起用のような内野手の外野併用については、2軍でも育成の平間選手や17年5位の松井選手がレフトで起用されていますが、そちらも一軍戦力として計算できるほどではありません。すぐに劇的な改善は見込めないというのが現状での評価となります。