<高校野球南北海道大会:北海8-6札幌日大>◇27日◇決勝◇札幌円山
試合終了直後、うずくまった札幌日大の主戦、前川佳央投手(3年)を、背番号15の弟周也内野手(2年)が支えるように肩を組んで一緒にベンチに戻った。
兄は最後の夏、すべてを出し切った。「今日は自分の体がどうなってでも、チームのために腕を振ると決めていた」。北海相手に自己最多171球の熱投。「悔いのない投球はできた。高校生活でやってきたことが最後の舞台で出し切れた」と胸を張った。
兄が今夏、地区から全6戦で投じたのは765球。準決勝からの連投もあり、体は限界を迎えていた。「自分が降りたら負け。なんとしてでもエースである限り、投げ続けることを考えていた」。終盤に右ふくらはぎがつったが、弟がマウンドまで届けた水を飲み、最後まで投げ続けた。弟は「終盤にかけてピンチは多かったけど、そこで持ちこたえて踏ん張って投げていた。そこは自分も勉強になった」と、兄の勇姿を目に焼き付けた。
兄弟そろっての甲子園出場の夢は、あと1歩で届かなかった。チームは南大会決勝で通算3度目の敗戦。兄は「準優勝は何回も経験している。その壁をなんとか次のチームで突破してもらいたい」。悲願のVを弟たちに託した。【山崎純一】
【前川選手の紹介】
185センチ78キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ
セットから大きく体を開き両腕を前後に広げ、そこから勢いをつけて投げ込むフォームから最速146キロ、常時130後半のストレートを投げ込む右腕投手。長身から投げ下ろす角度あるストレートに、110キロ後半の縦のスライダー、さらに100キロ台の大きくを弧をカーブとのコンビネーションで打ちとっていきます。特にカーブのコントロールが良く、身長があるため変化量の大きいカーブはどこに収まるか予想がつきにくく、空振り・見逃し両方を奪える決め球として機能しています。
チームでは主に先発で起用。南北海道大会では国際情報戦で先発すると、9回7失点で完投、決勝の北海戦でも171球8失点完投と連続完投を遂げています。
カーブのコントロールが非常に良い長身右腕となります。
【指名への課題】
カーブは非常にコントロールがよく空振りを奪えていますが、カーブ以外はストレートも含めてコントロールがよくありません。ストレートは角度があるものの、ボール2つ分ストライクゾーンから外れてしまい、高さも抜けるかバウンドするほどの低さに落ちてしまうかが多く、カーブ以外で安定してカウントが取れるボールがありません。
カーブ頼りの投球となるためカーブの割合が非常に多く、5割近くがカーブ。そのため叩きつけるバッティングに徹することで内野安打で塁を埋められています。またスタミナが切れてくると腕を振り下ろす瞬間に体がファースト方向に大きく流れてしまい、リリースポイントがバラバラになり制球が悪化します。
このため終盤になるとピンチになる展開が多く、カーブ以外の精度アップが今後の課題となります。
【指名順位予想】
カーブに加えストレートのコントロールがよければ指名候補となりましたが、カーブだけでは戦力として計算しにくく、支配下の可能性は低くなっています。
決め球といわなくても相手打者が頭に入れておかなければならない程度に精度アップした変化球を2球種、さらにストレートのコントロールがある程度安定することが課題。カーブと恵体を評価して育成4~5位となります。