東京六大学野球の法大は23日、川崎市内で今季初の練習試合を行い、社会人のENEOSに4―2で快勝した。148キロ右腕、扇谷莉(おおぎや・らい)投手(3年・東邦)が3イニングを1安打無失点の好投。エース候補は「まだまだでしたが、社会人相手にスライダーやフォークで空振りやファウルを取れたのはよかった。今年は去年からリーグ戦に出ている自分がやらないといけないと思っている」と誓った。
三浦銀二(DeNA)や山下輝(ヤクルト)らが抜け、リーグ戦で先発経験がある3年は扇谷だけ。「一緒に練習することが多く、学ばせてもらった。山下さんは体格もスタイルも似ているし、銀二さんには先発の準備の仕方などを教わった」。この日は3四死球を与えたが要所で三振も奪った。188センチ、95キロの巨漢右腕が直球をさらに磨いて4季ぶりの優勝に突き進む。
【扇谷選手の紹介】
188センチ85キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・フォーク
セットから軸足の重心を落とし、そこから上半身をあまり突っ込ませないオーバースローのフォームから最速148キロ、常時140前後のストレートを投げ込む右腕投手。120キロ中盤の横に変化するスライダー、110キロ中盤の縦のカーブ、120キロ後半のフォークを投げ込んでいきます。
武器は188キロの長身で投げ下ろす角度のあるストレート。力のあるストレートを中心に110キロの落差を感じさせるカーブのコンビネーションで打ち取っていきます。
チームでは主に中継ぎで起用。3年秋から本格起用されるようになり、3年秋は5試合に登板し7イニング防御率3.68と結果を残しています。
主に中継ぎで起用されていますが、本人は先発を志望しており、先発としてスタミナをつけるために3年冬に投げ込みを実施。7~8割の力でも中継ぎ時と同じ球速のストレートを投げられるようになり、スタミナと馬力アップを果たしています。
まだ大学では10試合以上登板しておらず、未完の大器としてさらなる活躍が期待されます。
【指名への課題】
課題はコントロールに変化球の精度の悪さ。スライダーは横の変化ですがリリースした瞬間から変化してしまい、コントロールもあまりいいほうではないため投げた瞬間からボールゾーンに向かって変化しだすため、スライダーの軌道であれば見逃せばほぼボールとなっています。アウトコースぎりぎりのラインに投げ込めないため、打者は迷うことなく見逃せています。
またフォークも指に引っかかりすっぽ抜けて反対側のバッターボックスに投げてしまう場面も珍しくないため、フォームも武器としては使えていません。
この状況がクイックになり腕の振りに力みが出てくるとさらに悪化し、カーブとストレートのどちらかに絞ればよいため、いいゾーンに投げることが出来てもしっかり打ち返されています。カーブに絞られるとカウントを整えられる球がないため、連続四球で押し出しとなる場面もありました。
【指名順位予想】
ストレートも140前後、変化球ではストライクがとれないとなると、大卒投手としては物足りなさが残ります。素材型であることを考慮してもコントロールが悪く、伸びしろを評価するにも登板実績が少なく学年が進むなかでどのような点が伸びたかが確認できておらず、唯一の4年の登板では制球が全く定まらず1イニングを持たず降板しているため、成長をアピールできていません。
安定してカウントを整えられるのはカーブのみとなりますが、そのカーブもストレートが定まらないため狙い撃ちされており、カーブの球質自体も他のドラフト候補に比べ優位に立てるほどの特徴はないため、指名漏れの可能性が高くなっています。