<全日本大学野球選手権:東農大北海道オホーツク4-0宮崎産業経営大>◇7日◇1回戦◇東京ドーム
東農大北海道オホーツクの先発・伊藤茉央投手(4年=喜多方)が2安打完封で、3大会連続の初戦突破に貢献した。
仲間を信じて打たせてとった。「序盤は真っすぐが浮いていたんですが、中盤からうまく修正ができて、空振りも取れるようになった」。ゴロを打たせ、守備から流れを作り打撃につなげた。3安打3打点と活躍した主将の吉井嵐将内野手(4年=東農大二)は「(伊藤の投球は)素晴らしかった。次も期待します」と笑顔でチームメートをたたえた。
日ごろから三垣勝己監督(41)が選手たちに話す言葉がある。「人間は弱いんだから、誰かに助けてもらいならが、やっていかないといけないよ」。1人じゃない。仲間の大切さを説きながら、学生野球の大切さを教えてきた。この言葉を胸に、伊藤も成長した。「精神的に強くなったと思います」と胸を張る。仲間を信じて、打たせて取る。だからこそ、自信をもって力のこもった1球1球を投げることができた。宮崎産経大の選手たちが「気持ちのこもったボールでした」、「自信を持って投げていた」と評する言葉に、裏付けされていた。
大舞台の経験で、成長する選手たち。三垣監督は「今日はたまたまこの試合でそういうところが出た。(選手たちが)ちょっとずつ分かってくれれば、もっと変わるんじゃないかと思います」と、成長に目を細めた。次は昨年、3回戦で敗れた上武大とのリベンジマッチだ。「浮足立って戦うのか。個人プレーに走るのか。今の力はどこまでなのかを見たい」。この1年の成長を、次戦にぶつけるつもりだ。
東農大北海道オホーツク・伊藤茉央2安打完封で初戦突破「うまく修正ができて、空振りも取れた」 - アマ野球 : 日刊スポーツ
(伊藤選手の紹介)
180センチ80キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・シンカー
セットから大きくを足を上げ、上げた勢いで一気に軸足の重心を落とし、サイドスローの角度で強い腕の振りから最奥148キロ、常時140前半のストレートを投げ込む右腕投手。120後半の小さく横に変化するスライダーに110キロ台の緩急を強く意識させるカーブ、横に逃げるシンカーで打ち取っていきます。高校時代に肘を痛めたことをきっかけにサイドスローに転向しました。
武器はコース問わず投げ込めるコントロールと変化球との組み合わせで生み出す緩急。左右問わずアウト・インの厳しいコースにストレート・変化球を投げ込み、ダイナミックな腕の振りでタイミングを合わせにくく、そこに同じ軌道で30キロ以上の緩急があるカーブや落ちるスライダーでタイミングをずらし打ち取っていきます。左に対してはアウトコースにに落ちるシンカー、右打者には外に逃げるスライダーを投げ込んでいきます。
チームでは主に先発で起用。4年春は不調に悩むも全国大会では宮崎産業大相手に完封勝利を遂げています。緩急が武器のサイドスローとして復活が期待されます。
【指名への課題】
伊藤選手の緩急を作る要素として大きく足を上げてから重心を落とし投げ込むフォームがあり、動きが大きい上に段階も多いため毎回微妙にタイミングがずれ、打者がタイミングを合わせづらくなっています。
しかしクイックになるとあまり足を上げなくなるためタイミングが一定になり、打者のタイミングが合いやすくなっています。それでもスライダー・カーブが使い緩急を生み出していますが、対左の生命線となるシンカーの精度に課題があり、投げた瞬間指に引っかかったようなボールゾーンに抜ける軌道で変化していくため、打者に見逃され武器に出来ていません。
スライダーは横にスライドするため中に入ってくるため左打者には使いづらく、現状ではストレートを狙った打者をシンカーで引っ掛けさせる投球で打ち取っていますが、右に比べ使える球種、コースが限られる分投げるコースが厳しくならざるを得ず、シンカーの精度アップが鍵となります。
【指名順位予想】
右に対してはスライダー・カーブにシュート回転するストレートでインコースも突いて様々なコースを使い攻めることができていますが、左に対してはストレートとシンカーのアウトコース攻めと、インコースへのストレートと縦のスライダーで膝元に落とす攻め方となっています。ただインへのスライダ―とシンカーの精度はまだ完璧ではなく、成績面でも4年春は不調と不安定さは残るため、即戦力とは評価されません。
現状では6~8位の下位指名候補。先発実績があり全体的な球速が伸び2~3年後に戦力になることを見越した獲得となります。