＜仙台6大学野球：東北福祉大1－0東北学院大、東北大2－0東北工大＞◇第6節第1日◇9月30日◇東北福祉大野球場
大学ラストゲームを「今までで1番のピッチング」で締めくくった。東北福祉大戦で先発した東北学院大の古谷龍之介投手（4年＝北星学園大付）が8回まで毎回奪三振の11奪三振をマーク。試合は0－1で完封負けを喫したが、次のステージへ実りあるラストゲームとなった。東北大は東北工大に2－0で勝利。先発の佐藤昴投手（2年＝仙台一）が、自身大学初の完封で今季2勝目を挙げた。
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この日に照準を合わせてきた。「福祉大に勝ちたいという気持ちで1週間練習してきたので、それをぶつけるだけでした。1人1人丁寧に投げました」。気持ちを込めて腕を振った。投球内容には「すごい良かった。四球もなく、三振もけっこう取れた。今までで1番良かったです」と笑顔を見せた。
悔やむべくは9回表、先頭打者の竹中研人内野手（4年＝駒大苫小牧）に投じた5球目だ。甘く入った内角スライダーを右翼席へと運ばれた。「1番やってはいけないことだった」。古谷は着弾を見届け、下を向いた。「自信なく投げてしまった。それが唯一。野球はそういうものなんだと感じました」。1球が勝敗を分けた。
この敗戦を糧にする。古谷は9月17日にプロ志望届を提出。高校3年の夏に出した151キロから最高球速に変化はないが、直球、カーブ、スライダーの3つだった球種は大学4年間で7球種に増えた。直球も、大学では最速150キロをマークし、キレや重みが増している。「最後の最後で悔しい思いをした。プロに行けたなら、今日のような場面は絶対来る。自信を持って投げられるように」と古谷。自信を培い、さらに上のマウンドに立つ。
【古谷選手の紹介】
１７３センチ６８キロ 右投げ右打ち
変化球：スライダー・カーブ・カット・ツーシーム・チェンジアップ
セットから上半身の動きを抑えた小さめの腕の振りから最速１５１キロ、常時１４０中盤のストレートを投げ込む右腕投手。１２０キロ台の縦と横に変化する二種類のスライダー、１００キロ台のカーブ、１３０キロ台のカットボール、１２０キロ台のツーシーム、１２０キロ台のチェンジアップを投げ込んでいきます。
武器はカウントを整えるためにも決め球にも使える２種類のスライダー、スライダーを中心に攻めていくため打者はスライダーに狙い球を絞り打ちに行きますが、縦と横のスライダーがあることで芯を外されフライで打ち取られていきます。
チームでは主に先発で起用。大学に入り体重を１５キロ増やしたことで球のキレが向上。スライダー・カーブだけだった球種も７種まで増やしています。１年時に新型コロナ、２・３年時は監督が不在となり満足な練習ができない環境が続きましたが、今年就任した元西武の星孝典氏が就任したことで、元捕手の経験を活かした投球術も習得し実戦能力を高めていきます。
今年本格的な成長を見せる右腕。プロ志望届を提出しており、さらなる成長が期待されます。
【指名への課題】
７球種を持つものの実際に投げ込むのはスライダー・ストレート・カットボールが多く、スライダーが５割以上、ストレートが２～３割で残りがカットやチェンジといった変化球となっています。特にクイックになるとスライダーとストレートの割合がさらに多くなり、変化量が大きいスライダーでストライクゾーンに投げ込むため、甘くなると高めをしっかり引っ張られランナーを貯める苦しい展開が多く見受けられます。
変化量が大きく真ん中から高めに投げるスライダーが多いため空振りが奪えず、２ストライク以降の決め球に苦労しています。落ちる球を投げられない性で低めで空振りを奪えず、せっかく低めに決めたストレートも他に見せ球がないため見逃されるかカットされるなど、コントロールのよいストレートも活かしきれていません。
【指名順位予想】
変化球の精度に大きな差があるものの、まだ体も細く伸びしろがあり、身に着けた投球術を実戦で活かす機会も４年生になりようやく得られたような状況のため、プロで他の変化球の精度を高め投球術を確立させながら３～４年後の先発を期待したい選手となります。
ただ現状では点の取られ方が甘くなったスライダーを引っ張られるという明確な弱点があるため、大卒で計算できる変化球が少ないのは大きな課題となります。このため現状では育成５～７位となります。
