読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

2023年ドラフト指名選手の巨人における起用方針と課題  5位指名 日本生命 又木 鉄平選手 解禁済左腕投手

巨人からドラフト5位指名を受けた日本生命・又木鉄平投手(24)が22日、都内のホテルで入団交渉に臨み、契約金5000万円、年俸1000万円で仮契約した。背番号は46。最速149キロに多彩な変化球を操る即戦力左腕は「先発をやりたいなと思っています」と希望を明かし、1年目から「2ケタ勝てる投手になれるように頑張ります」と誓った。

 巨人の新人左腕が2ケタ勝利を挙げれば12勝を記録した1939年の中尾輝三(後の碩志)以来、85年ぶり2人目の快挙だ。「やりがいがあるというのが一番、僕の中ではあると思っています」と先発への熱い思いを語った又木。同じ左腕で通算142勝の杉内投手チーフコーチと135勝の内海投手コーチに、配球論など一流の極意を「具体的に聞ければいいかなと思います」と目を輝かせた。

 4強入りした今秋の社会人日本選手権(京セラD)は3試合に登板し、計9回2/3を投げて3安打無失点。大会初先発した17日の準々決勝・JR四国戦では、6回無安打無失点7奪三振の快投を披露した。右打者の外角に沈むチェンジアップが大きな武器で、カーブやスライダーの精度も高くリリーフもこなせる。水野スカウト部長は「真っすぐが非常に強くてタフ。1年目から勝負してもらいたい」と太鼓判を押した。

 中学生の時に父が亡くなり、女手一つで育ててくれたフィリピン出身の母・ミルドレドマヨさん(57)も見守った会見。夢をかなえた息子は「僕にとって一番大事な人で、一番の心の支えです」と改めて感謝の気持ちを伝えた。午前中にはG球場の施設見学に参加。対戦したい打者には「どれだけ真っすぐで押せるか試してみたい」と同学年のDeNA・牧を指名した。1年目から2ケタ勝利の偉業を成し遂げ、巨人のV奪回に貢献する。(中野 雄太)

【巨人】ドラ5・又木鉄平が仮契約 1939年の中尾輝三以来、球団史上2人目の新人左腕2ケタ勝利を誓う(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

 

【又木選手の紹介】


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182センチ92キロ 左投げ左打ち

変化球:スライダー・カーブ・カット・チェンジ

 経歴:日川高ー東京情報大ー日本生命

解禁年:2022年

 

 ノーワインドアップから上げた足でグラブを叩きリズムを作り、そこからオーバースローの角度から振り抜くフォームから最速148キロ、常時140前半から中盤のストレートを投げ込む左腕投手。120キロ台のスライダー、120キロ台のチェンジアップ、130キロ台のカットボールを投げ込んでいきます。

 武器は出所の見にくいフォームから投げるストレートとスライダーのコンビネーション。140前後ながら低く伸びるように投げ込まれるストレートは特に右打者に有効で、そこに大きく弧を描くスライダーで緩急を作り出しています。そしてストレートを意識させたところでチェンジアップを投げ込み、打者のタイミングを外し打ち取っています。

 解禁年である2年目には1球団から調査書が届くも指名漏れ。翌年はレベルアップのためにフォーム改造に着手し、セットからノーワインドに変えたことでフォームのリズムができ、制球力向上につながっています

 日本選手権では3試合に登板し9(2/3)回を無失点と好投。先発・中継ぎ両面で期待できる即戦力左腕として注目されます。

 

【なぜ獲得されたのか】

 巨人の先発左腕はグリフィン・メンデス選手以外では1軍1年目の横川選手のみ。井上選手も1軍では4試合を投げ防御率10点台と結果を残せず、横川選手もシーズン中盤以降はスタミナ切れと5回前後から突如崩れるスタミナの課題が露呈したため、来年もどれほど結果を残せるかは未知数。

 また中継ぎも高梨選手は勤続疲労、代木・山田選手は手術後のリハビリ段階。今村・大江選手は敗戦処理止まり。バルドナード・中川選手が安定こそしているものの、この2名は左腕よりも勝ちパターンとして8・9回で起用されるため、その前のイニングで起用できる左腕中継ぎも補強対象でした。

 

 2位で森田選手を指名したものの左腕不足は顕著。水野スカウト部長はさらなる即戦力左腕を求め、当初は3位指名も考えていた選手。泉口選手を他球団が狙っている情報があったため、結果として又木選手は5位となったものの、先発・中継ぎ両面で起用できる又木選手が候補となりました。

 又木選手は球の出所の腕の振りが均一で球種を特定しにくい変則タイプ。首脳陣は22年ドラフトから変則左腕を求めているため、先発・中継ぎ両面で起用でき、潰しがきいて起用の幅が広い選手として指名されました。

 

 2位の森田選手は出力が高く対左のツーシームを持つため、どちらかというと中継ぎ向き。一方で又木選手はランナーを出したり打たれたりするものの、芯で捉えにくく最終的には無失点に収めるのらりくらりとした投球が持ち味。対左はフォークが決め球でランナーがいると使いにくいため、回の頭から投げられる先発向きとなっています。

 

【1軍起用への課題】

 課題は対左への投球幅の拡大。又木選手は左打者に対しては15打者に対し2被安打1四球。右打者に対しては19打者に対し1被安打1四球と抑え込んでいるのに対し、左打者は打球速度の速いライナーを打たれることも多く、右に比べカウントも悪くなることも多く球数を要しています。

 右打者に対してはインコースへのストレートにカウントを整えられるスライダー、そして外に小さく落ちるチェンジで打ち取るといった、外も内も使える投球ができるため、打者は窮屈、中途半端なスイングで打ち取れています。

 

 一方で左打者はストレート・スライダーが中心となり、特にカウントを取れる球がスライダーメインのため、早いカウントから打者が引っ張り面で強い打球を放っています。左打者に対してもインをつくカットに膝元に落ちるフォーク軌道のチェンジがあるため左に対しても打ち取りはできているものの、2ストライクまでが右に比べばらけるストレートにスライダーのみのため、2ストまでの追い込み方が課題となります。