◆第96回センバツ高校野球大会第6日 ▽1回戦 常総学院1―0日本航空石川(25日・甲子園)
常総学院のエース・小林芯汰投手(3年)が散発5安打9奪三振の快投で今大会2人目の完封勝利をマークした。1点リードの9回は1死一、三塁のピンチを背負ったが、河田を遊ゴロ併殺で試合終了。「落ち着いて投げられました。本当にホッとしたというか、うれしかったです」と笑った。
今秋ドラフト候補の最速149キロ右腕。この日は球場表示で最速140キロと控えめだったが、常時セットポジションから直球と変化球のコンビネーションがさえた。4回2死一、三塁ではカットボールで河田を空振り三振。5回は1死三塁から代打・竹中をカットボールで空振り三振、続く冬木はカットの直後の真っすぐで一飛に仕留めた。
1回戦最後の登場だった両校。春14年ぶりの2日連続順延となったが、小林は前日24日には43球を投げ込んで調整。初戦にしっかり合わせてきた。
1週間で球数500球以内というルールの中で、決勝まで進むと最大5試合を戦うことになった常総学院だが、横浜(現DeNA)などでプレーした島田直也監督(54)は「基本はエース(小林)に任せます」と信頼する。本人も「自分的には連戦の方がいい感覚で投げられる」と頼もしい限り。まずはエースらしい119球で初戦を突破した。
【小林選手の紹介】
180センチ86キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カットボール
セットから大きく足を上げたあとタメを作り、動きの速いテイクバックの小さい腕の振りから最速140キロ、常時140前半のストレートを投げ込む右腕投手。130キロ台のスライダー、130中盤のスライダーを投げ込んでいきます。
武器は得意球と名前を挙げるカットボール。ストレートとあまり球速差がないながら、打者の手元で鋭く落ちる変化を見せ、左打者を翻弄し、右打者にはスライダーとストレートを組み合わせ打ち取っていきます。
チームでは主に先発で起用。日本航空石川戦では何度も得点圏にランナーを背負いながらも9回無失点で完封を遂げる好投を遂げています。
左右に決め球を持つ右腕投手として、さらなる成長が期待されます。
【指名への課題】
課題は決め球は球種の幅が少ないこと。左にはストレートとカット、右にはストレートとスライダーとあまり引き出しがあるタイプではありません。そして小林選手は縦の小さな変化をメインにストライクゾーンに投げ込み勝負するタイプのため、全体的に厳しいコースに投げざるを得ません。
調子がいいときはゾーン内でどんどん勝負できますが、コースぎりぎりに投げられる調子がないと低めを捨てられボール先行になり、ストライクゾーンに投げた球をことごとく引っ張られ痛打されていました。
投げられる球種が多くなくストレートは決め球でないため、狙い球を絞られやすいのが弱点となっています。
【指名順位予想】
得意球のカットとスライダーは通常時であればキレがありストライクゾーンで勝負できるものの、球数が増えスタミナが切れてきたり疲労で調子が悪いと変化量が落ちる上にボールゾーンにいきがちなため、かなり苦しい投球となっています。
左であればまだインにカットと外に逃げるスライダーでかわせますが、右に対してはストレートが指にかからなくなりシュート回転、縦の変化も反応してもらえなくなるため、右打者に対して被弾率が上がっています。
今後の課題はストレートの威力をどれだけあげられるか。2年時に比べると制球は向上しているため、平均球速140キロ台を維持できるだけのスタミナを獲得できるか、また決め球とならないまでも、カットとスライダー以外の球種を持ち投球を幅を広げられるかが伸びしろのを評価する注文点となります。
調子が悪い時に投球を組み立てられる術がないため、現状では指名漏れ候補。ストレートが安定しあと2球種増えれば6~7位候補となります。