◆第96回センバツ高校野球大会第8日 ▽2回戦 大阪桐蔭4―2神村学園(27日・甲子園)
大阪桐蔭の1番・境亮陽右翼手が2―1の5回、ランニング本塁打を放った。変化球をとらえた飛球は右翼後方へ。「最初はちょっと打球を見た」というが、すぐに、飛ばない新基準バットであることを思い出して全力疾走。フェンスを直撃したボールが右翼手をすり抜けるように跳ね返ると、境は三塁も蹴って楽々とホームに生還した。
以前のバットならスタンドイン? 「もしかしたら」と笑った境。「低反発になっても、足は変わらないので、ボクの足は生かせる」。中学で陸上部に所属し、ジュニアオリンピック(中学生の全国大会)に出場。残念ながら打球が柵越えしなかったからこそ、100メートル11秒06の俊足を存分に発揮できた。バット高校通算9本目の本塁打だが、ランニング弾は初。「甲子園で思い切り走れて良かったです」と白い歯を見せた。
【境選手の紹介】
180センチ75キロ 右投げ左打ち
ポジション:ライト・センター
通算9本塁打、遠投105m、ランニングホームランも記録した俊足が売りの左打ち外野手。武器はチーム1を誇り50m5.8秒、一塁到達速度3.9秒の俊足であり、中学時代は陸上部と兼任したほどとなっています。
また打撃でも足を活かした内野安打だけでなく、ランニングホームランになったライト方向への深い当たり。アウトコースをしっかりを振り抜き内野の頭を超すヒットを生み出したりと、打撃面でも評価を得ています。3年春の選抜では12打数7安打で驚異の打率.583を残し、リードオフマンとして結果を残しました。
守備でも俊足だけでなく投手の経験もある強肩を活かした送球精度のよい返球を披露。このためセンターだけでなく肩を評価されライトスタメンで起用されています。
2年生までは最速146キロを記録する二刀流選手でしたが、秋の大会後に野手に専念することを決意。しかし監督からは投手としてもまだまだいけるし、肩も足もある選手と、そのポテンシャルを高く評価されています。
U-18代表候補の一人としても選ばれており、俊足が売りの外野手としてさらなる成長が期待されます。
【指名への課題】
課題の一つは盗塁の少なさ。境選手は一度加速すると一気にスピードが上がるタイプのため、一塁を超えた辺りからどんどんスピードが上がっていきます。そのため盗塁ではまだスピードが乗り切れておらず、盗塁時のスライディングもベース付近で始めるためタッチされやすくなっています。この走塁の課題が解決しないとプロ入り後の一番打者としては走塁面で物足りなさが残り、3番打者としては長打力が足りていません。
また現在はセンターを守る機会はあまりなく、報徳学園戦でセンタースタメンだった吉田選手が負傷交代した際もライトから変更されていません。試合中の守備位置変更はリスクが大きいことを考慮しての措置でしょうが、スラッガーでなく俊足タイプがセンター守備機会をあまり見せられないのは指名の課題となってきます。
【指名順位予想】
境選手の選手評はスラッガータイプでなく俊足中距離型。大卒・社会人であれば打力の伸びしろがある程度計算でき、スラッガータイプと違い早い時期から1軍で起用できるため上位指名候補になりますが、高卒となると打撃の伸びしろが未知数となるため、スラッガー候補と比べると高卒では優先度が落ちてしまいます。
また大卒・社会人で似たタイプが多く毎年ある程度候補選手が出てくるため、その点からも2~3位候補となるほどの長打力はまだ足りていません。
ただ内野安打だけでなくしっかりと内野を超えた長打やセンター方向への打球を飛ばしており肩もいいため、守備・走塁も備わったタイプとして4~5位が現状の評価となります。
今年から低反発の金属バットとなり以前のように打球が飛ばないため、その中で5本塁打以上を放てば長打面の伸びしろを評価され、3位候補となってきます。