読売ジャイアンツのドラフト戦略を語る

巨人が取るべきドラフト候補選手、また現状の選手たちの実情から取りうるべきドラフト戦略を語っていく

巨人3軍の意義とその効果

 今年巨人3軍が創設されて半年、その効果がどれほど出ているのかを考えていきたい。

 もともと3軍はソフトバンクに先駆けて巨人が始めた制度である。当時の球団代表であった清武が選手育成を促す目的として2010年に設立。しかし当時は今のように独立リーグや大学との海外遠征が確立されていなかったことや、採算が合わなかったこともありわずか2年で解散。その後ソフトバンクが3軍を創設し結果を残しています。

 

巨人「第二の2軍」わずか2季で解散…理想と現実、難しい育成(1/2ページ) - 産経ニュース

 そして2016年、巨人3軍が再結成。独立リーグとの交流が盛んになり試合数が確保できるようになったのも大きいと思われます。

 しかしその年に野球賭博が発覚。3軍創設のために育成選手の大量獲得に至りましたがその大半が独立リーグの選手。3軍要員のための数合わせドラフトといわれ批判されました。

 

【3軍によって現れた効果】

 ここまで巨人3軍は独立リーグ相手に大量失点を喫するような状態であり、これが1軍成績であれば間違いなく暗黒時代といわれる成績となっています。

 しかし巨人3軍に求められるのは勝利ではなく選手の育成です。ソフトバンクでさえ3軍は白星を数えた方が早く数え終わる勝率であり、ソフトバンクもそこは割り切って運営しております。

 3軍の意義とは、戦力とはいえない原石である育成選手にとにかく実戦経験を積ませることであり、また2軍以下のチームを置くことで2軍選手に危機意識を持たせることでもあります。

 実際にその効果は現れ始めています。ポジション別で育成に時間がかかるのが捕手。他のポジションに比べ試合に出せる人数が限られてしまうためです。兼任ができるポジションでもないため、DHもしくは捕手として出場する選手が大半でしょう。そのため捕手全体で出場できる数が限定され、なかなか育たない現実があります。

 しかし3軍の創設により、2軍の試合とは別に3軍で捕手に実戦経験を積ませることができるようになりました。

 その中で目を出し始めたのが育成の田中貴也捕手。2014年に育成指名されるもなかなか出場機会がなく、DHや代打での出場がメインでした。

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 そして3軍が創設されると3軍で正捕手を努め、8月から2軍に昇格。出場試合は7試合ながらも打率.294のHR1本。正捕手争いを繰り広げています。

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 また投手でも結果が出ています。それが同じく育成の成瀬・篠原投手。二人は3軍で中継ぎとして活躍。同じく8月頃に2軍に昇格し、成瀬投手が最速149キロ、篠原投手は最速151キロと進化し、右のパワータイプ中継ぎとして成長しています。

 また3軍で怪我明けの選手の調整登板の場としても機能しており、手術明けの杉内選手や怪我から復帰した平良選手などが登板し、その後2軍で登板しています。特にベテラン投手の投球は若手にとって大きな刺激となるでしょう。

 また2軍と3軍の選手の入れ替えも積極的に行われており、春のキャンプに呼ばれた和田恋選手も今は3軍に容赦なく落とされています。一方で3軍から長谷川選手や増田選手など、結果を出せば2軍で試合に出ることができており、この危機感の煽りが破竹の13連勝、そしてイースタン1位の一因かもしれません。

 

【3軍の存在がドラフト戦力に与える影響】

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 これまで育成選手の獲得指針というのは、2~3年で出てくるような選手がメインになっていました。これは2軍だけだと出場できる選手の数に限界があり、どうしても育成に時間がかかる素材型を出場させられる余裕がないため、すぐに2軍に出せるような大卒や独立リーグの選手が中心になっていました。そのためか1.5軍といえるような選手が増えてしまい、高い将来性を持つ時間がかかる選手の獲得ができませんでした。

 しかし3軍の創設により多くの育成選手にも実戦機会を持たせられるようになり、時間のかかる素材型選手の育成も可能となりました。また高卒選手にも早めに試合に出せるようになることも大きなメリットとなるでしょう。実際、今年ドラフトで獲得した与那原・巽投手は高卒ですが、7月には3軍で登板しており先日2軍で初登板となりました。

 【これからの3軍に期待すること】

 これからの3軍に期待すること、それは選手の若返りです。特に高卒選手に積極的に出場機会を持たせることにより、若いうちから戦力となる選手を発掘することが期待されます。ここ数年小兵タイプや即戦力指名が続いている巨人ドラフト。大型選手や素材型選手の獲得に期待したいところです。