＜都市対抗野球：東京ガス6－5ホンダ熊本＞◇最終日◇9日◇東京ドーム◇決勝
都市対抗野球の新人賞にあたる若獅子賞には、準優勝のホンダ熊本（大津町）の古寺宏輝内野手（23＝関東学院大）、4強のNTT東日本（東京都）の多田裕作投手（22＝拓大）、ENEOS（横浜市）の滝沢虎太朗外野手（22＝早大）の3人が受賞した。
NTT東日本の多田は、1年目ながら抑えとして3試合に登板した。「とても光栄に思っております。いい場面で投げられて抑えられたので、これから長いイニングを投げられるようにやっていきたい」と課題を挙げた。東京ガスが初優勝を飾った決勝戦を間近で見て「（NTT東日本は）4強で負けてしまった。去年も決勝で負けているので、来年こそは優勝できるように、自分も力になりたい」と決意を口にした。
ENEOSの滝沢は、全3試合にスタメン出場し11打数5安打3打点をマークした。準々決勝の東京ガス戦では、3－4で迎えた9回2死から空振り三振に倒れ、最後の打者となった。「自分がアウトになって試合負けてしまったんですけど、冷静にもっとできたのではないかと反省しています」と悔しさをにじませた。
若獅子賞の受賞については「3回戦（準々決勝）で負けてしまったので期待していなかったんですけど、ありがたい名誉な賞をいただけたので、恥じないように今後もずっとプレーしていきたいと思います」と話した。
【多田選手の紹介】
１７６センチ８３キロ 右投げ右打ち
変化球：スライダー・カーブ・チェンジ・スプリット
解禁年：２０２２年
セットからスリークォーターよりも高い角度から腕を振る癖のないフォームから最速１４８キロ、常時１４０前半のストレートを投げ込む右腕投手。１３０キロ台の縦のスライダー、１２０後半の手元で一気に落ちるチェンジアップ。１３０後半の鋭く落ちるスプリットを投げ込んでいきます。
武器は回転数が低く落ち方が大きい縦の変化球。平均回転数は９００～１３００と非常に回転数が低く、空気抵抗を強く受けるため縦の変化球が鋭く落ちるようになっています。
チームでは主に中継ぎで起用。１年目の都市対抗では３試合に登板し失点０．若獅子賞を受賞しています。２年目も都市対抗２次予選、本戦ともに３試合登板しこちらも自責点無しと中継ぎとして結果を残しています。
１年目から結果を残している即戦力中継ぎとしてさらなる飛躍が期待されます。
【指名への課題】
課題は堕ちる球への割合の高さ。多田選手の投球スタイルは１９００回転の浮かないストレートと、９００～１３００回転の落ち方が大きいチェンジ・スプリットで空振りを奪っていくスタイルとなっています。
しかし回転数が少ないために球が飛びやすく、低めに落ちるタイミングを外されたスイングでも外野奥まで飛ばされています。持ち球の種類が球速差があまりなく、フォームも癖がなくタイミングを合わせやすいため、大きくタイミングを外されず回転数が少なくボールで押し込めないため、フライピッチャーとなり球場によって防御率に大きさが出てくるタイプ。
回転数が低いため抜けると高めに抜けず、打ち頃の高さにほぼ変化しない棒球として抜けてしまい、緩急のなさも相まって球の飛びやすさはランナーがいる場面では出しづらく中継ぎとして起用の場面が限られてしまいます。
【指名順位予想】
中継ぎ即戦力と評価したいところですが、ボールの飛びやすさは野外球場を本拠地するチームにとって起用しにくい選手。回転数があまり高くないため、球速がどれだけ押し込めるかの鍵になってくるため、１４０前半で癖もないフォームとなるとストレートは決め球としては使いづらくなっています。決め球は持っていますが左にはアウト・右にはインにしか投げ込めないため、スライダー・カーブ系の球の割合を増やし投げ込める範囲を増やし事が求められます。
球速が１４０中盤、スライダー・カーブ系が２割程度投げられるようになるほど精度があがれば、６～８位の下位指名となります。球の飛びやすさは現状どうしようもないため、勝ちパターンと計算できないことから順位は低くなっています。
