今回は15年~17年育成ドラフト組、つまり育成から自由契約となる3年目以上のなかでまだ戦力外・支配下契約となっていない選手の現状と課題について語っていきたいと思います。
今回の記事では15・16年組について語っていきます。
15年育成ドラフト
6位:橋本 篤郎 投手 鎮西
16年育成ドラフト
1位:高井俊 投手 独立L新潟
3位:山川和大 投手 独立L兵庫
6位:高山竜太朗 捕手 九産大
【15年育成6位:橋本 篤郎選手】
2019/9/19 橋本篤郎 (読売ジャイアンツ) サウスポー BCL選抜戦 1イニング
15年育成ドラフト組で支配下されていない選手のなかで唯一まだ残っており育成6位で入団した高卒左腕投手。球速こそ物足りなさはあるものの、コントロールよく投げわけ先発として起用されていました。
去年は2軍で4試合に登板し防御率3.18とようやく2軍でも起用され始めるもシーズン後半は故障からリハビリで離脱してしまい、2軍起用の実績を積むことが出来ませんでした。。高卒とはいえ5年目は勝負の年であり、本人も3~40試合登板を目標としています。そんな橋本選手の課題は以下の2点です。
①故障の多さ
②さらなる球速アップ
①は育成選手としては非常に痛い部分。先発を任せられながら毎年怪我で離脱しており、その結果リハビリ登板期間が長くなり2軍登板の機会を失っています。
②は橋本選手自身もともとあまり球速があるタイプではなく、当初は130前半がほとんどでした。見づらいフォームとコントロールで打ち取るタイプであったため先発のころはまだ何とかなりましたが、本人は30~40試合登板したいと語っていることから中継ぎ起用となり、そうなれば今の球速では物足りません。現在は常時130中盤、最速145キロも記録するようになっていますが、変化球豊富というタイプでもないため、中継ぎとして台頭するには常時140前半が必須となってきます。
【16年育成1位:高井俊選手】
2019/05/29 巨人 高井俊 トルネード投法復活5回表無失点の投球!
トルネードが魅力の独立リーグ投手。しかし去年は上半身のコンディション不良で2年目を1年棒に振っています。2軍出場も通算で7試合に留まっており、幸い自由契約となる3年目も契約延長となりましたが、厳しい立場であることには変わりません。詳しい流れは過去記事に載せています。
支配下への課題については以下の3点になります
①変化球の精度
②肘の故障とトルネードへの不安
③実戦経験の少なさ
①についてはかねてから言われていた課題です。ストレートに力がある一方、スライダーやカーブといった変化球が抜けやすくカウントを取れません。このためストレートたよりになり合わせられて失点しています。
②は高井選手自身も不安に感じている点。故障からの復活後、肘の再発を恐れ普通のフォームにしていたほどです。杉内コーチに押されトルネードは復活させたものの、依然故障のリスクは抱えています。リスク分支配下となるにはプラスでポジティブ要素が必要となります。
③は支配下の上で非常に重要となる点。戦力として見込めるかの基準となる二軍実績はわずか9試合しかなく、年齢も今年で25歳。勝負の3年目をリハビリ明けの調整登板に割いてしまったのが響いています。今年も3軍メインとなると首が寒い立場となります。
【16年育成3位:山川 和大選手】
巨人・身長166センチの山川和大 「時間差投法」で無安打無失点 1軍VSファーム 3回裏 2020年2月4日
166センチと小柄ながら常時140台の力強いストレートが武器の中継ぎ右腕。上半身のコンディション不良で1年目はスタートダッシュに失敗。その後も3軍で先発・中継ぎところころと起用ポジションが変わりあまり成績も着いてきませんでした。
そんな山川選手も今年は勝負の年と位置付け杉内コーチから勧められた常時クイックでタイミングをずらす投法を導入。紅白戦では1回無失点。その後のSBファーム戦でも2回無失点と結果を残しています。そんな山川選手の課題は以下の2点です
①ストレートの制球アップ
②変化球の強化
大きくコントロールを乱すタイプでない一方、投手としての大きな武器がないのが欠点。身長がなくストレートに角度がないことに加え、ストレートも高目に集まることが多いためファールは取れても空振りを取れず打ち取ることに苦慮しています。
また変化球もスライダー・カーブ・ツーシーム・チェンジアップともっていますがどれもある程度使えても強力な決め球といったものがなく、これも三振を奪うのに時間がかかる理由となっています。
【16年育成5位:高山 竜太朗選手】
強肩が売りの大卒捕手。一方で打撃能力の低さが入団当初からの課題であり、当たれば飛ぶパワーを持っているものの、まず当たらないミート能力の低さ。それゆえに去年の2軍打率は36打数4安打で打率.111と捕手という点を抜きにしても厳しい数字となっています。そんな高山選手の課題は以下の二つ。
①ミート能力の低さ
②スローイング技術の向上
①については先に語った通りであるため、②について触れていきます。高山選手は大学時代からその強肩が有名であり、高山選手がスタメンで出ているなら盗塁はしてはならないという認識をされていたほどです。一方で強肩のわりにあまり盗塁を刺せておらず、原因はスローイングが山なりになってしまい二塁到達まで時間がかかることや、スローイング体制になるまでにも時間を要していることが原因です。
打撃で課題がある以上守備面でも課題があるとなれば支配下の可能性は低く、2軍では17年組の小山選手や1年目の山瀬選手が起用されるようになっています。3軍までの人員を考えると高山選手を切る余裕はありませんが、ドラフト市場次第では戦力外候補の一人となります。