<センバツ高校野球:星稜5-4天理>◇22日◇1回戦
星稜のエース右腕マーガード真偉輝(まいき)キアン(3年)が先発、7回0/3を2失点、自責点0の好投でチームを初戦突破に導いた。
186センチ、90キロの巨体から130キロ台後半の直球とスライダー、カットボールを絶妙に織り交ぜ、被安打3、奪三振8。右手のツメに異常が生じ、8回途中に降板するまで天理打線を翻弄(ほんろう)した。
元米海軍のマイケルさん(54)と恵子さん(57)を両親に、沖縄・沖縄市で生まれた。美東中3年だった19年夏の甲子園で、現ヤクルト奥川を擁した星稜が履正社に負けた決勝戦を生観戦。「星稜の準決勝後に、あの子が“見たい”と言い出して。そんなお願いをする子じゃないから、ビックリしました」と恵子さん。両親と3人で沖縄から急きょ甲子園まで飛び、星稜進学を決めた。
家族を沖縄に残し、石川に単身乗り込み、気候の違いを乗り越え、縁もゆかりも友達もいない中で成長した。最後の守りとなった11回裏2死三塁、一打同点のピンチには、マウンドへ伝令で走り、今大会を最後に退任する林監督の「こんな楽しいことはないから」という言葉を伝え、士気を高めた。「監督さんと1試合でも多く一緒にいたい」。マーガードはまだまだ投げ足りない。
【マーガード選手の紹介】
186センチ90キロ 右投げ右打ち
変化球:スライダー・カーブ・カット・ツーシーム・フォーク
セットから大きく足を上げた後、上半身をあまり突っ込ませない力感の無い腕の振りから最速142キロ、常時130後半のストレートを投げ込む右腕投手。大きく変化する縦のスライダーに手元で一気に落ちるカットボール、左打者の外へ逃げる130前後のツーシームを駆使して打ち取っていきます。
武器はキレがありコントロールもよい変化球。左打者に対しては膝元に落ちるスライダーと外に逃げるツーシームで空振りを取り、右打者に対しては外へのカット・スライダーを投げ込んでいます。
チームでは主に先発で起用。選抜では3試合で起用され16(2/3)回を投げ自責点1で防御率0.54と好投。大型恵体投手でありながら変化球の精度とキレで勝負できる投手として注目されています。
【指名への課題】
課題はクイック時のフォーム。通常のセット時は足を上げた後にタメを作り、そこから上半身を突っ込ませないフォームから、しっかり真ん中低めにストレート・変化球を投げ込んでいます。しかしクイックになると上半身を突っ込ませないよう腕の振りが弱くなり、球速以上に球威が落ち込んでいます。上半身の大きさに比べまだ下半身が細く、疲れも出てくると下半身が粘れなくなり、制球もばらつくようになります。
また武器のカットボールにも課題があり、変化量が大きいキレのあるカットですが、その分指への負担が大きく、特に右手中指に負荷がかかっており、試合中にも爪が割れるアクシデントに見舞われています。前にも同様のアクシデントにあっており、先発として計算するには、いつ爪が割れるかわからない投球スタイルは課題となります。
【指名順位予想】
素材型である以上、どれだけ成長性をアピールできるかが指名のラインとなります。大型投手となると球速はあるがコントロールに課題があるタイプが多い中、マーガード選手はコントロールがよいため、ある程度球速を伸ばせれば大きなアピールとなります。
ただし過去に制球難に悩まされた時期があるため、今の精度をいじしながら最速147前後、平均球速を140前後まで伸ばせれば5~6位となります。ただしここから球速を伸ばせなかった場合は8~10位となります。